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初キスの話

その頃の僕は小学生で、まだこの世界の汚い部分なんて知らなくて。

ただただ毎日を一生懸命に生きていた、そんな時期だった。

 

 

 

僕はそこそこクラスに溶け込んでいた人間だった。塾に行っていたおかげでテストの成績がよかったからか、自分で言うのも何だが一目置かれていた。よく話をする友達は男女問わずたくさんいたし、少なくとも名前を覚えていない人はクラスには誰もいなかった。

 2時間目と3時間目の間にある25分休みでは毎日ドッジボールをしていたし、放課後には広い公園でサッカーや野球や缶蹴りをした。運動は苦手だったし、逆上がりができなくて放課後に残らされたこともある。でも、友達と一緒に体を動かすのは、決して悪い気分ではなかった。

 

 

そんなある日の掃除の時間のことだった。

小学生が真面目なわけもない。僕達はくだらない話をしながら、だらだら掃除をしていた。

 

 

「このホウキってさあ、掃いてるときに毛が抜けるから意味ねーよなあ」

「それずっと思ってたわ」

「まあ雑巾で床ふくのよりはマシだけどな」

「あれ冷てえしほんと嫌なんだよなあ~」

 

 

僕は真横にいる友達と話していた。当然、顔は横を向いていた。

前述したが僕は運動神経が悪い。それに、床が雑巾がけのせいで濡れていた。よそ見をしていた僕が自分のホウキを誤って踏んで、結果つまずくことになったのは、ある意味自然なことだ。

 

 

 

あ、しまった。やばい。

そう思って、咄嗟に顔を前に向けた。

 

 

 

 

 

 

ファーストキスはレモン味。そんなフレーズをバカにするかのように、その時間はあまりにも短く。

それでも、僕の心に染みわたるには十分な時間で。

唇がわずかに感じたその感触は、僕の頬をほんの少し熱くしたのだった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからも彼とはそこそこ仲良くしてたけど中3の時に一緒カラオケに行ったきりあけおめメールも送らなくなった お後がよろしいようで

多分これがファーストでラストになるんだろうなあ